三田井村の鬼八法師の墓と窟
どんな伝承か
筑前遠賀郡の僧神洞の筆記を引いた『太宰管内志』の記事である。臼杵郡三田井村に鬼八法師の墓というものがあり、鬼八が住んだという窟は村の近くにある。東から入ると歌を彫りつけた石が立っており、峰は八つ谷は九つ戸は一つ、鬼こそ住めれあららぎの里とある。参詣した者はその文字を紙に摺って持ち帰ることが多い。窟の奥へ六十間ほど進むと川があり、向こう岸に黒いものが横たわっている。越えようとすれば高く思われ、くぐろうとすれば低く思われて、それ以上は奥へ入れないという。三田井村の七ツ池には御汐井という所があり、十社明神の行幸の場である。社には古くから五十石が付き、六月二十九日の祭礼には内藤家から代参があった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。