神に縄を引かされた樵夫と虚空蔵岩
どんな伝承か
旧荒川村日野に伝わる話。怠け者の樵夫四郎は、人々が懸命に働くかたわらぶらぶら遊んでばかりいたが、ある日珍しく薪を取ってくると言って山へ出かけたまま帰らなかった。近所の人々が方々探しても見つからなかったが、翌日ひょっこり戻ってきた。わけを尋ねると、山で神に出会い、弟富士の頂上にある虚空蔵岩を引き下ろす手伝いをさせられて、ようやく帰ってきたのだと答えた。それからの四郎はすっかり真面目になったという。そのとき引いた縄の跡とされる筋が、今も虚空蔵岩にくっきり残っている。
原典より
秩父郡荒川村日野に伝わるお話です。—— 秩父の伝説と方言 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秩父の伝説と方言
『秩父の伝説と方言』は、秩父市教育長鶴沢福松の序を付し、編集委員が執筆整理にあたって編んだ秩父地方の伝説と方言の集成である。秩父市と秩父郡に伝わる伝説を集め、武甲山麓のジジイ・ババア石、橋立鍾乳洞の悪龍、畠山重忠や坂上田村麻呂にまつわる話、伐ると祟る天狗松などを語り口調で記す。伝説は石・水・塚・屋敷跡・山と人物・地名・社寺および城跡・木に関する八つの部に分け、話によっては他地方の類話を注記する。