将門の甲冑像を納めた箭面観音
どんな伝承か
大滝村大達原の円通寺について、風土記稿は文達山と号する臨済宗の寺で、本尊は行基作と伝える小さな地蔵の立像、開基は平将門で承平二年の創建だと記す。寺の記録によれば、十一面観世音は行基が一刀三礼して刻んだ三尺の像である。天慶年中、将門が大滝の城に攻め寄せて幾日も戦ったとき、この観音に武運を祈り、守り本尊の地蔵と自ら刻んだ甲冑姿の像を左右に納め、七日間十一面の法を修めさせた。その後たびたび勝ちを得たのは観音が戦場の矢面に立ってくれたからだとして、箭面観世音と称されるようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秩父の伝説と方言
『秩父の伝説と方言』は、秩父市教育長鶴沢福松の序を付し、編集委員が執筆整理にあたって編んだ秩父地方の伝説と方言の集成である。秩父市と秩父郡に伝わる伝説を集め、武甲山麓のジジイ・ババア石、橋立鍾乳洞の悪龍、畠山重忠や坂上田村麻呂にまつわる話、伐ると祟る天狗松などを語り口調で記す。伝説は石・水・塚・屋敷跡・山と人物・地名・社寺および城跡・木に関する八つの部に分け、話によっては他地方の類話を注記する。