落武者が住んだ武士平と茶平
どんな伝承か
秩父市浦山に武士平と茶平と呼ばれる所がある。浦山は茶の質も量も秩父一とされる山里である。武士平の由来には諸説あるが、その一つでは、昔落武者の一団がこの地へ逃れて人目を忍んで住みつき、毎日弓を手に猪や鹿、鳥などを仕留めて暮らしていた。あまりの腕前に村人が尋ねると、やはり元は武士であった。行いが正しく村人をいたわったので深く慕われ、その住まいの跡が武士平と呼ばれたという。ある日猟の途中で喉が渇いた武士たちは農家で茶をふるまわれ、そのうまさに何杯も飲み、ここは茶に向くと栽培を勧めた。これが茶の浦山の始まりで、その場所が茶平と呼ばれるようになったとされる。
原典より
秩父市浦山に「武士平」及び「茶平」といわれる所があります。—— 秩父の伝説と方言 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秩父の伝説と方言
『秩父の伝説と方言』は、秩父市教育長鶴沢福松の序を付し、編集委員が執筆整理にあたって編んだ秩父地方の伝説と方言の集成である。秩父市と秩父郡に伝わる伝説を集め、武甲山麓のジジイ・ババア石、橋立鍾乳洞の悪龍、畠山重忠や坂上田村麻呂にまつわる話、伐ると祟る天狗松などを語り口調で記す。伝説は石・水・塚・屋敷跡・山と人物・地名・社寺および城跡・木に関する八つの部に分け、話によっては他地方の類話を注記する。