大金を守った堤のおろち柳
どんな伝承か
文政のころ、湖南の中地村に牛右衛門という渡世人がいた。博打は打つが人には親切な男で、村人に好かれていた。あるとき三代宿の賭場で大もうけをし、酒を飲んで家路についたが、途中で酔いつぶれ、堤の大柳の下で眠り込んだ。夢の中で乙姫のような芸者にもてなされ、ここで金を見せるなと諭される。目覚めて家へ帰ると大金の包みがない。二、三日して行ってみると、風呂敷はもとのまま固く結ばれ、堤の草むらに隠すようにして見つかった。柳の堤には水神様の使いのおろちが棲むと知る老翁が、大蛇が金を守ったのだろうと語った。牛右衛門は若いころ、その柳のほとりで殺されかけた蛇を銭で買い取り、水神様の境内に放してやったことがあった。
原典より
文政のころ、湖南の中地村に牛右衛門という渡世人がいた。—— 郡山の伝説(ふるさとの文化財調査事業・昭和六十一年(1986)刊/監修 大島建彦) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
郡山の伝説(ふるさとの文化財調査事業・昭和六十一年(1986)刊/監修 大島建彦)
福島県郡山市(旧安積郡・田村郡域、湖南・熱海・三穂田・逢瀬・西田・中田ほか各町)に伝わる伝説を、木/石・岩/水/塚/坂・峠・山/祠堂/家・村/祭礼・行事の八部門に分類して集成する。坂上田村麻呂や阿古陀媛・采女伝説・萩姫、源義家ら前九年の役の人物伝承、淵や池の主・龍神・河童、弘法大師の清水、稲荷・観音・地蔵の霊験、長者伝説や埋蔵金、隠れキリシタンなど、郡山の地に根ざした怪異・霊験・由来譚を伝承地つきで網羅する。