一字一石で鎮めた嫁の亡霊
どんな伝承か
宝暦二年の昔、駒屋のある家から野田のある家へ嫁に行った娘があった。娘はどうしてもその家に居つかれず出たり入ったりしていたが、駒屋の実家の人たちに叱られて嫁ぎ先に帰ることもかなわず、ついに身の置き場がなくなって自殺してしまったという。実家も嫁ぎ先も供養らしい供養をしなかったので、仏は成仏できず亡霊となり、毎夜のように道を通る人々を悩ました。その寂しい道は夜に誰も通らなくなった。ある日、旅の僧が来て供養を申し出、実家の人たちと相談して千個の平たい石に経の梵字を一字ずつ書き入れ、ねんごろに供養して供養塔を建てた。その後、亡霊は現れず、その壇を石経壇と呼ぶようになったという。
原典より
宝暦二年の昔、駒屋の某家より野田の某家へ嫁に行った娘があった。—— 郡山の伝説(郡山市教育委員会(編)・大島建彦(監修)・ふるさとの文化財調査事業・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
郡山の伝説(郡山市教育委員会(編)・大島建彦(監修)・ふるさとの文化財調査事業・1986年(昭和61年))
『郡山の伝説』は、郡山市教育委員会が大島建彦の監修を受けて昭和六十一年に編んだ伝説集である。昭和五十九年度の「ふるさとの文化財調査事業」で調査員が市内全域から採集した伝説を中心に、郷土誌などで補った話を収め、采女伝説や坂上田村麻呂・源義家・弘法大師にまつわる話が多い。『日本伝説名彙』にならって木・石岩・水・塚・坂峠山・祠堂・家村・祭礼行事の部に分け、各話に伝承地と報告者名を添え、巻頭に監修者の解説を置く。