蛇に化けた赤鞘の短刀
どんな伝承か
昔、舟津に浅右衛門という人がいた。ある日、九寸五分の赤鞘の短刀を御霊櫃峠の地蔵の前の休石に忘れたまま峠へ登り、気づいて引き返した。途中で会った人に短刀がなかったかと尋ねると、短刀はなかったが休石の上に赤い蛇が寝ていて、気味が悪いので休まずに来たと言う。浅右衛門が休石へ戻ってみると、赤鞘の短刀はちゃんとそこにあった。さてはこの刀こそ蛇の化身かと恐れ、家神に納めたという。やがて村の話題となり、夜泣きする赤子の家がこの刀を借りるようになり、よく効いたと伝えられている。
原典より
昔、舟津に浅右衛門という人がいた。—— 郡山の伝説(郡山市教育委員会(編)・大島建彦(監修)・ふるさとの文化財調査事業・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
郡山の伝説(郡山市教育委員会(編)・大島建彦(監修)・ふるさとの文化財調査事業・1986年(昭和61年))
『郡山の伝説』は、郡山市教育委員会が大島建彦の監修を受けて昭和六十一年に編んだ伝説集である。昭和五十九年度の「ふるさとの文化財調査事業」で調査員が市内全域から採集した伝説を中心に、郷土誌などで補った話を収め、采女伝説や坂上田村麻呂・源義家・弘法大師にまつわる話が多い。『日本伝説名彙』にならって木・石岩・水・塚・坂峠山・祠堂・家村・祭礼行事の部に分け、各話に伝承地と報告者名を添え、巻頭に監修者の解説を置く。