身代りに熱湯を浴びたやけ地蔵
どんな伝承か
長手から古郷部へ越える間道があり、その部落の入口の平地に地蔵尊が一基だけ淋しく立っている。そこを内越という。昔ここに喜左エ門という長者が住んでいた。数百町歩の大地主で幾棟もの土蔵に金も米も満ち、女中や作男を数十人も雇い、内越長者と呼ばれて「一念峯の山が崩れても内越長者はくずれない」とまで謡われた。長者夫妻に可愛がられた二十八歳の女中を妬んだ別の女中が、ある夏の夜、その部屋に忍び入り、煮え立った湯を浴びせて焼き殺そうとした。悲鳴を聞いて駆けつけてみると、女はよそへ出て留守で、そこには焼けた地蔵尊が転がっていた。長者夫妻はこの不思議を崇めて地蔵を安置し、以来やけ地蔵と呼ぶようになったという。
原典より
長手から古郷部へ越える間道があります。—— 高畠町伝説集(昭和三十二年(1957)刊/高島高校文芸班編) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
高畠町伝説集(昭和三十二年(1957)刊/高島高校文芸班編)
山形県東置賜郡高畠町(屋代・亀岡・和田・二井宿・糠野目・高安・露藤ほか各地区。一部は隣接の米沢市・南陽市宮内・長井市)に伝わる伝説を、神仏/人物/怪異/動物/什物/地物/地名/地誌 の八篇に分類して集成する。屋代神社の鬼女縁起、犬の宮・猫の宮、安久津八幡、狐狸むじなの化かし、天狗・怪物・沼の怪、青葉の笛や応挙の幽霊画、伊達・上杉の城館跡や古戦場、地名由来など、高畠の地に根ざした怪異・霊験・由来譚を地区つきで網羅する。