将門上洛の噂を見抜いた浄蔵
どんな伝承か
叡山の僧・浄蔵は、横川において平将門調伏のために大威徳法を修したところ、七日目の初夜に燈明の上に武装した将門の姿が現れ、人々が見上げると、にわかに流星の響きが東方を指して過ぎるのを聞いたと伝える。この浄蔵は、まもなく仁王会の講師として出仕した折り、将門が上洛してくるという噂が流れ、京中の上下が大混乱に陥ったとき、ただひとり、それは将門の首の入洛の誤報であることを奏上して人々の不安を拭った。はたしてその言葉のとおりであったといい、ことにその法験が高く評価されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
将門伝説——民衆の心に生きる英雄(梶原正昭・矢代和夫・1966年(昭和41年))
『将門伝説——民衆の心に生きる英雄』は、梶原正昭と矢代和夫が一九六六年に著した平将門の伝説の研究書である。茨城県岩井町をはじめ各地の伝説地の踏査と、縁起・古記録・地誌をもとに、将門の怨霊と調伏、七人の影武者、子の良門や娘の如蔵尼、寵妃桔梗ら落人の行方、後裔を名告る家々、伝説の伝播と文芸化をたどる。序章と三篇からなり、巻末に青森県から鳥取県までの伝説分布と、寺社縁起など関係文献の抄録を附録として付す。