野口秀房が納めた将門の位牌
どんな伝承か
金剛寺の本堂には、将門平親王朝臣代々尊霊と記された位牌がある。『新編武蔵風土記稿』はその背の銘を伝え、新皇の位を立てたのは山中の棚沢であり、それゆえその地に宮を置いて先代から敬ってきたこと、三田の先祖は七十四代まで無事だったが、永禄六年に弾正少弼綱秀が死んで一族が滅び、野口ばかりが生き残っていま八十九歳に及ぶこと、そこで位牌を作って三田の菩提所に納めた由が、寛永四年八月吉日の日付で記されているという。野口秀房はこのとき位牌を三基つくり、残る二基を二俣尾の海禅寺と天寧寺に納めたと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
将門伝説——民衆の心に生きる英雄(梶原正昭・矢代和夫・1966年(昭和41年))
『将門伝説——民衆の心に生きる英雄』は、梶原正昭と矢代和夫が一九六六年に著した平将門の伝説の研究書である。茨城県岩井町をはじめ各地の伝説地の踏査と、縁起・古記録・地誌をもとに、将門の怨霊と調伏、七人の影武者、子の良門や娘の如蔵尼、寵妃桔梗ら落人の行方、後裔を名告る家々、伝説の伝播と文芸化をたどる。序章と三篇からなり、巻末に青森県から鳥取県までの伝説分布と、寺社縁起など関係文献の抄録を附録として付す。