蛇が谷
どんな伝承か
昔の鎌倉には蛇が谷と呼ばれる谷が三か所あり、それぞれに女の執念が蛇と化す話が伝わっていた。その一つ、鶴岡八幡宮の北東の谷に住むある人の娘は、八幡宮の僧坊で暮らす若い男を慕って病の床についた。事情を打ち明けられた母は、男の両親と知り合いだったのを幸い、頼み込んで男を娘のもとへ通わせた。しかし男はどうしても娘に心を寄せられず、しだいに足が遠のいて縁は切れた。思いを断ち切れない娘は病が重くなって死に、ほどなく男も原因の分からない熱で息を引き取った。男の亡骸を棺に納めて八幡宮の西の山に葬ったが、棺の中では大きな蛇が男に巻きついていたという。
原典より
古い屋敷址にまつわる伝説 一二七神社・寺院・堂・祠にまつわる伝説 一三五—— 神奈川の伝説(谷川平夫(文)/読売新聞社横浜支局 編・1967年(昭和42年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
神奈川の伝説(谷川平夫(文)/読売新聞社横浜支局 編・1967年(昭和42年))
『神奈川の伝説』は、読売新聞社横浜支局が一九六七年に編んだ神奈川県内の伝説集である。読売新聞神奈川県民版に昭和四十年九月から四十二年八月まで八十回連載された「神奈川の伝説」のうち六十五回分を収め、文は谷川平夫記者が書き、伝説の地を訪ねて住職や古老に聞いた話と現在の様子を添える。樹木・石・塚・水・坂や島・屋敷址・社寺・禁忌・地名の部に話を分け、大藤時彦の序文と巻末の解説・索引を付ける。