無量寺の不動明王
どんな伝承か
蒔田の南竜山無量寺の本尊不動明王は、盗難よけの不動として信仰されている。昔、この寺に夜盗が忍び込み、宝物を片端から大きな風呂敷に詰めたうえ、闇の中でふしぎに光る不動像にまで目をつけ、売れば大金になると抱えて外へ出ようとした。とたんに手足がしびれて動けなくなり、体を締めつけられて泡を吹いて倒れた。外出から戻った住職が術を解いて正気に戻すと、夜盗は許しを乞うて改心したので、住職は一度この法を受けた者はどこで悪事をしても必ず報いが来ると諭して逃がした。夜盗の手足には縄できつく縛られたような赤いあざが残っていたといい、この像は金しばり不動と呼ばれる。
原典より
東樹院の文福茶釜(横浜市南区笹下町) 一七三源範頼と大寧寺(横浜市金沢区片吹町) 一七七石老山の源海上人(津久井郡相模湖町) 一八九—— 神奈川の伝説(谷川平夫(文)/読売新聞社横浜支局 編・1967年(昭和42年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
神奈川の伝説(谷川平夫(文)/読売新聞社横浜支局 編・1967年(昭和42年))
『神奈川の伝説』は、読売新聞社横浜支局が一九六七年に編んだ神奈川県内の伝説集である。読売新聞神奈川県民版に昭和四十年九月から四十二年八月まで八十回連載された「神奈川の伝説」のうち六十五回分を収め、文は谷川平夫記者が書き、伝説の地を訪ねて住職や古老に聞いた話と現在の様子を添える。樹木・石・塚・水・坂や島・屋敷址・社寺・禁忌・地名の部に話を分け、大藤時彦の序文と巻末の解説・索引を付ける。