娘の墓に咲く紫のいかり草
どんな伝承か
大宮市の御蔵には、いかり草の自生地がある。昔、武蔵の国を開くために出雲から下ってきた若者と、この土地の豪族の娘とが心を通わせるようになったが、親に反対されて別れねばならなかった。別れぎわ、娘は若者の胸に可憐な花を挿してやったという。娘はまもなく病にかかり、短い一生を終えてしまう。それから毎年春になると、娘の墓には若者の胸に挿したのと同じ紫色の花がたくさん咲くようになり、人々はこれをいかり草と呼ぶようになったと伝えられる。
原典より
大宮市御蔵に、いかり草の自生地がある。—— 武蔵の伝説(大島建彦/渡辺千佳子・日本の伝説・1976年(昭和51年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
武蔵の伝説(大島建彦/渡辺千佳子・日本の伝説・1976年(昭和51年))
『武蔵の伝説』は、大島建彦と渡辺千佳子が昭和五十一年に著した伝説集である。埼玉県・東京都と神奈川県の一部にあたる旧武蔵国の伝説を、地誌・紀行・社寺縁起・区市史や『埼玉県伝説集成』などの文献と土地の口碑から集め、項目ごとに出典を添える。『日本伝説名彙』の六部門に家・村と祭礼・行事を加えた八部に分け、巻頭の「はじめに」で伝説の分類の方法を論じている。