大日如来と拝まれた下女お竹
どんな伝承か
寛永のころ、日本橋大伝馬町の豪家佐久間某の家に、お竹という下女がいた。人目のあるなしにかかわらずよく働き、自分の食べる分は貧しい者や物乞いに与えて、自らは家人の食べ残しや、流しに吊るした網に引っかかった屑を集めて食べたという。三十年のあいだ、そうして勤めを果たした。ある行者が羽州湯殿山にこもり、生身の大日如来を拝みたいと祈ったところ、江戸へ行き大伝馬町佐久間方の下女お竹を拝めとの告げを受けた。行者が訪ねてお竹に向かうと、その体から金色の光が放たれ、五色の雲が頭上にたなびいたという。以来お竹は仏として敬われ、奉公を退いて念仏三昧に暮らし、延宝八年に世を去った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
江戸傳説(佐藤隆三)
『江戸傳説』は、佐藤隆三が著した江戸と東京の伝説集である。将門の首塚、番町皿屋敷、お玉ヶ池、置てけ堀、縁切榎、矢口渡など、市中と近郊の塚・池・坂・井戸・寺社にまつわる由来譚や、化け狐・猫又の怪異を、『江戸名所図会』『将門記』などの記録を引きつつ語る。目次に四十の項を番号順に並べ、口絵の図絵と目次番号に対応した伝説分布図を添え、巻末に資料参考書目を付す。