発句一つで雨を降らせた其角
どんな伝承か
元禄六年六月の盛夏、俳人其角が遊船に誘われて三囲のあたりに舟を寄せると、三囲神社の境内では小梅村の百姓たちが鉦や太鼓を打ち鳴らして雨乞いをしていた。日照りが続いて作物が枯れていくので、その必死さは並ではない。同船の者たちも気の毒がり、其角に句で雨を祈ってくれと請うた。其角が神前にひざまずき、「夕立や田を見めぐりの神ならば」と書いて納めると、たちまち空がかき曇り、雷鳴とともに車軸を流すような雨が降ったという。境内の雨乞の句碑は、安永六年に其角五代の孫が建てたものである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
江戸傳説(佐藤隆三)
『江戸傳説』は、佐藤隆三が著した江戸と東京の伝説集である。将門の首塚、番町皿屋敷、お玉ヶ池、置てけ堀、縁切榎、矢口渡など、市中と近郊の塚・池・坂・井戸・寺社にまつわる由来譚や、化け狐・猫又の怪異を、『江戸名所図会』『将門記』などの記録を引きつつ語る。目次に四十の項を番号順に並べ、口絵の図絵と目次番号に対応した伝説分布図を添え、巻末に資料参考書目を付す。