栗和田の狩人と榛名神社の沼の大蛇
どんな伝承か
三沢村の榛名神社のあたりには昔、大きな沼があり、真ん中を道が通って二つに分かれていた。大蛇がその道を枕に寝ているのを見た人も多かった。ある日、栗和田の狩人が沼のほとりで休んでいると、小蛇が出てきて足の親指をなめた。放っておいたところ、通りかかった村人が叫び、見れば蛇は大蛇に変わって足首まで呑んでいた。狩人は刀で口を裂いて陣屋まで逃げ、岩の上から垂れてきた大蛇の頭を鉄砲で撃ち殺した。血は七日七夜流れ、そこを血流沢と呼ぶ。大蛇が死ぬと沼の水はあふれて沼は消えた。狩人の家では祟りが続いたので、大蛇の霊を屋敷神に祀ったという。
原典より
そのため大蛇は死んだが、その血が七日七夜の間流れたので、そこを血流沢と名付けたという。—— 秩父・奥武蔵伝説たわむれ紀行(神山弘・1984年(昭和59年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秩父・奥武蔵伝説たわむれ紀行(神山弘・1984年(昭和59年))
『秩父・奥武蔵伝説たわむれ紀行』は、神山弘が一九八四年に著した伝説探訪の紀行である。越辺川の流域や高麗郷、富士山のある村々、竹寺、武甲山と三峰山、宝登山、釜伏峠と粥新田峠など埼玉県西部の山村を歩き、土地の古老からの聞き書きと『新編武蔵風土記稿』などの記録を交えて、竜や大蛇、天狗、幽霊、将門などの伝説を語る。土地ごとの章に小見出しを立てた随筆体で、著者の前著『ものがたり奥武蔵』で扱わなかった土地を主にとりあげる。