釜がうなる稲荷祭りの冥途式
どんな伝承か
北九州市域の稲荷祭りに「冥途式」という行事があった。米を入れた釜の上に注連縄をかけた桶を据えて火にかけ、神の正面に神器として置く。代人が祝詞をあげ御幣を振り始めると、桶の中からうなるような音が出る。祝詞の声と御幣の動きが大きく強くなると音も大きくなり、弱まると音も弱まる。当時まことに不思議で、人々は神の業と思い頭を垂れて礼拝したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北九州市史 民俗(北九州市・北九州市史)
『北九州市史 民俗』は、北九州市が編んだ市史の民俗編である。ここに収めるのはその第三編「信仰伝承」第一章「信仰」の第二節以降で、門司・小倉・若松・八幡・戸畑の各区に伝わる聖地と忌地、神仏信仰、神事と法会、巡礼、巫者・祈禱師、信仰集団、狐憑きや犬神などの憑霊・霊異現象を記す。節ごとに地区と地名を挙げて事例を並べる編み方で、祟る石や産女石、落人の墓なども忌地の項に見える。