紅梅姫の霊を鎮める紅梅地蔵
どんな伝承か
八幡西区藤田一丁目の浄蓮寺には、火除けの愛宕地蔵と、本堂裏の紅梅地蔵がまつられている。紅梅地蔵は、無実の疑いをかけられて自刃した紅梅姫の霊を鎮めるためのものだという。姫の亡霊は月毛の馬にまたがって前田や黒崎の空を駆けめぐり祟りをなしたので、主君であった花尾城主の麻生上総介重郷が地蔵尊像を刻み、堂を建てて手厚く供養した。安産や乳の病、婦人病に霊験があるとされ、遠近から信者が集まる。毎年五月には両地蔵を本堂に移して仏教婦人会が法要を営み、紅梅地蔵尊絵巻が開帳される。この日、地蔵の手に結ばれた五色の糸に触れると御利益があるといって多くの人が糸に手を伸ばす。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北九州市史 民俗(北九州市・北九州市史)
『北九州市史 民俗』は、北九州市が編んだ市史の民俗編である。ここに収めるのはその第三編「信仰伝承」第一章「信仰」の第二節以降で、門司・小倉・若松・八幡・戸畑の各区に伝わる聖地と忌地、神仏信仰、神事と法会、巡礼、巫者・祈禱師、信仰集団、狐憑きや犬神などの憑霊・霊異現象を記す。節ごとに地区と地名を挙げて事例を並べる編み方で、祟る石や産女石、落人の墓なども忌地の項に見える。