藍島に立った遍路の亡霊と十一面観音
どんな伝承か
北九州市小倉北区の藍島でスギを伐っていたとき、折悪しく通りかかった遍路に木が倒れかかり、下敷きになって命を落とした。この遍路は島流しに遭った身であったという。以後、夜ごとにその亡霊が島のあちこちへ立つようになった。困り果てた島人が拝み屋に頼んで霊を呼び出すと、自分は大津から来た者だ、十一面観音を祀ってくれと告げた。そこで金色の立像と祠をこしらえ、島をあげて祀ったところ、亡霊は姿を見せなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北九州市史 民俗(北九州市・北九州市史)
『北九州市史 民俗』は、北九州市が編んだ市史の民俗編である。ここに収めるのはその第三編「信仰伝承」第一章「信仰」の第二節以降で、門司・小倉・若松・八幡・戸畑の各区に伝わる聖地と忌地、神仏信仰、神事と法会、巡礼、巫者・祈禱師、信仰集団、狐憑きや犬神などの憑霊・霊異現象を記す。節ごとに地区と地名を挙げて事例を並べる編み方で、祟る石や産女石、落人の墓なども忌地の項に見える。