岳麓寺へ帰ると唸る銀の茶臼
どんな伝承か
直入郡久住町の岳麓寺を開いた僧は、唐の金山寺から海を渡ってきた高僧で、見事な銀造りの茶臼を持っていた。天正のころ島津勢が豊後に攻め入った際、島津の大将がこの茶臼を土産に奪い、薩摩の城へ持ち帰った。殿様が茶を点てようとすると、茶臼はきらきらと光り出し、湯が沸くと岳麓寺へ帰ると唸るように鳴ったので、殿様は望みどおり寺へ返させた。のちに竹田の殿様が珍しがって岡城へ持ち帰ったときも、茶臼は同じように岳麓寺へ帰ると言い出し、また寺へ戻されたという。
原典より
ところが、そこの殿さまが、この茶臼で茶を立てようとしたところがのう、茶臼がいきなりキラキラと光り出したのじゃ。—— 大分県の民話 第2集(土屋北彦・大分県の民話) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大分県の民話 第2集(土屋北彦・大分県の民話)
『大分県の民話 第2集』は、土屋北彦による大分県の民話集である。日田の鬼大夫永季、府内の山弥長者、柞原八幡縁起、小豆研ぎ、百合若物語りなど、県内各地の長者譚・社寺の縁起・人柱・妖怪・英雄の伝説を、古代から江戸時代までの年号や現在の市町村名を添えて語り直す。三十二話を一話ずつ題を立てて並べ、多くは「です・ます」の語りで、方言による短い昔話も交じる。