病を癒やす薬水の井とガッカラ薬師
どんな伝承か
行田市長野のガッカラ薬師には、こんな話が伝わる。薬師にゆかりの木の根元から水がこんこんと湧き、その水で湯浴みすると病がめきめき治るので、薬水の井と呼ばれた。享保のころまでは湯治の人で長野村は大いににぎわったが、村人がめいめい水を汲んで浴場を設け、利を争ったため、領主に湯と遊興を禁じられて寂れた。堂を建てようとした人には如来が夢で止め、正徳六年には木のそばに僧を葬った友人二人が熱を出して狂い、亡骸を掘り出すと治ったという。
原典より
ところが如来がその夜夢枕にたち、堂は造営してはならぬというお告げである。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。