亡骸を食らう開かずの門の竜
どんな伝承か
さいたま市大崎の国昌寺は曹洞宗の古刹で、山門には左甚五郎の作と伝える竜の彫刻が掲げられている。この門の扉はいつも閉じたままで「開かずの門」と呼ばれる。昔、檀家の葬列がこの門をくぐると、棺の中の亡骸が抜け殻のようになって急に軽くなった。山門の竜が食べてしまうからだと言われ、それ以来どんなことがあっても門は開けないことにしたという。またこの竜は、近くの見沼が大雨であふれると夜ごと抜け出して水面をのたうち回ったので、頭に太い釘を打ち込むと、それがおさまったという。
原典より
昔、この寺の檀家の葬列がこの門を潜ると、中の仏様がもぬけの殻になって、急に軽くなってしまう。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。