浜の娘が明かした盆踊歌の文句
どんな伝承か
小子内の浜で莚に寝転んでいた娘たちに、六年前どうしても聞き取れなかった踊歌の文句を尋ねた。年かさの一人が鼻唄のようにして「なにヤとやーれ/なにヤとなされのう」と歌ってくれた。古くから伝わるこの歌を、この浜でも盆の月夜になるたびに歌いながら踊っていたのである。土地に生まれた人でも意味が解らぬというが、要するに何なりともせよかし、どうなりとなさるがよいと、男に向かって呼びかけた恋の歌であった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第2巻』は、柳田国男の紀行と旅の随筆を収めた著作集の一巻である。昭和三年一月の自序に続く「雪国の春」や菅江真澄の日記を読み解く文をはじめ、東北の村々の正月、火と炭、浜の暮らしの見聞、「秋風帖」「東国古道記」、昭和十五年十一月の自序を持つ「豆の葉と太陽」などの紀行を並べる。峠や古道、佐渡・五箇山・熊野などの土地を、住む人の暮らしと信仰から見ようとする文が多い。