天蓋の蓋をかぶせる国中の蒸し風呂
どんな伝承か
柳田は国中の中興で、兄の知人の家を訪ね、このあたりで最も古いという民家を案内された。その家の風呂桶には藁で編んだ天蓋のような蓋があり、湯を沸かすときだけ桶を上がり段の端まで運び、上から吊った蓋をかぶせて湯気をこもらせ、中にしゃがんで蒸される。湯はわずかでひどく熱く、ときどき釜から汲んで足すので、足を焼かないよう底に踏み台がある。子どもが中で気持ちよく居眠りしているのに気づかず熱湯を足して、やけどをさせたという話もあると記す。
原典より
子供がい、心持に中で居睡りをして居るのを知らずに、熱湯をさして火傷をさせたといふ話もある。—— 定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第2巻』は、柳田国男の紀行と旅の随筆を収めた著作集の一巻である。昭和三年一月の自序に続く「雪国の春」や菅江真澄の日記を読み解く文をはじめ、東北の村々の正月、火と炭、浜の暮らしの見聞、「秋風帖」「東国古道記」、昭和十五年十一月の自序を持つ「豆の葉と太陽」などの紀行を並べる。峠や古道、佐渡・五箇山・熊野などの土地を、住む人の暮らしと信仰から見ようとする文が多い。