空から見た三厩の建網
どんな伝承か
柳田国男は飛行機で津軽海峡を飛び越え、三厩の鼻に差しかかったとき、沿岸の漁師たちが次から次へと張り渡した建網の光景に目を留めた。浜と直角に百間以上の網が沖へ一直線に突き出し、内外いずれの側から近づいた魚群も、驚いて沖へ出ようと網に沿って進むうちに袋へ入ってしまう仕掛けである。上から見ると赤鱏という魚に似て尾の部分がずっと長い。相手の癖と弱点を見きわめた恐ろしいほどの知恵で、これが北方開発史の第一頁だと独りで感じ入ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第2巻』は、柳田国男の紀行と旅の随筆を収めた著作集の一巻である。昭和三年一月の自序に続く「雪国の春」や菅江真澄の日記を読み解く文をはじめ、東北の村々の正月、火と炭、浜の暮らしの見聞、「秋風帖」「東国古道記」、昭和十五年十一月の自序を持つ「豆の葉と太陽」などの紀行を並べる。峠や古道、佐渡・五箇山・熊野などの土地を、住む人の暮らしと信仰から見ようとする文が多い。