枝を盗むと海が荒れる穴沢の椿
どんな伝承か
小湊の椿は一枝も折ることを許されず、心ない者が採ろうとすると必ず美しい女性が現れて制止すると言い伝えられた。小湊の町から海づたいに椿明神へ参詣する路には穴沢という処があり、そこにも一本の古い椿の木があった。昔、誰かが枝を盗んで帰ろうとすると海が荒れて、どうしても先へ進むことができない。恐ろしくなって路の傍に捨てたその枝が根付いて成長し、この木になったのだという話が残っていると柳田国男は記す。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第2巻』は、柳田国男の紀行と旅の随筆を収めた著作集の一巻である。昭和三年一月の自序に続く「雪国の春」や菅江真澄の日記を読み解く文をはじめ、東北の村々の正月、火と炭、浜の暮らしの見聞、「秋風帖」「東国古道記」、昭和十五年十一月の自序を持つ「豆の葉と太陽」などの紀行を並べる。峠や古道、佐渡・五箇山・熊野などの土地を、住む人の暮らしと信仰から見ようとする文が多い。