払暁に笛太鼓で唱える鳥追い
どんな伝承か
小湊では、正月の子供の行事がもはや大人の儀式ではなくなっていたのに対して、鳥追いは十六日の払暁に、笛や太鼓のいかめしい拍子を取って、最も厳重に行われていた。このときの唱え言として菅江真澄が手記しているのは、「朝鳥はより、夕鳥はより、長者どの、かくちは、鳥は一羽も居ないかくちだは、よりより」という文句であった。真澄はこうした村々の小正月の作法を、日記のうちに細かく書きとめている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第2巻』は、柳田国男の紀行と旅の随筆を収めた著作集の一巻である。昭和三年一月の自序に続く「雪国の春」や菅江真澄の日記を読み解く文をはじめ、東北の村々の正月、火と炭、浜の暮らしの見聞、「秋風帖」「東国古道記」、昭和十五年十一月の自序を持つ「豆の葉と太陽」などの紀行を並べる。峠や古道、佐渡・五箇山・熊野などの土地を、住む人の暮らしと信仰から見ようとする文が多い。