様の観音と鳥追の叢
どんな伝承か
『三国名勝図会』は、東手村の称名寺の後ろにある縦二町横一町ほどの岡を日暮の里と記す。今は林や畑となっているが、昔ここに日暮の長者が住み、日暮殿とも日暮の城とも呼ばれたという。長者は宮里村の清水という所の女を娶って男女二人をもうけた後に離縁し、迎えた継妻が残忍で、長者の在京中に子らを鳥追舟に乗せて水田の鳥を追わせた。姉弟は苦しさに耐えかねて川に身を投げ、里人が屍を埋めて欅を植えたのが鳥追の叢である。天明元年に伐り、今は寛延二年建立の聖観音石像を様の観音と称する。母の里の宮里村には母逢川があり、その渡し口を母逢の渡と呼ぶ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第14巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第14巻』は、熊本・宮崎・鹿児島の三県に伝わる伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。阿蘇の大鯰や海幸山幸など神話に連なる話から、為朝・景清・人丸姫の伝承、長者や河童・狐の話、池の主や大蜘蛛退治、狩人と犬の話までを収める。各項目は口承を重んじた例話を冒頭に据え、梗概にした類話と、『肥後国誌』など近世以後の史料を原文で引く文献を続け、全体を文化叙事伝説と自然説明伝説の部に分ける。