雪の上に畝を立てて祝う正月の田植
どんな伝承か
徳岡では正月十一日をハダテと称して仕事初めの日とした。雪の上に畝を立て、薄の穂や葉を早苗に見立てて挿し、ああくたびれたと冗談を言う者もあれば、小苗打ちどうしたなどと子供らに戯れ、歌をうたい酒を飲んだ。十五日は黄金餅と称して餅を搗く習いがあり、家によっては十一日の雪の上の田植をこの朝に行う例もあった。山畑の雪の中に高い柱を立て、一方に杭を打って間に縄を張り、麻糸の糸巻や瓢箪を吊り下げた家もあったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第2巻』は、柳田国男の紀行と旅の随筆を収めた著作集の一巻である。昭和三年一月の自序に続く「雪国の春」や菅江真澄の日記を読み解く文をはじめ、東北の村々の正月、火と炭、浜の暮らしの見聞、「秋風帖」「東国古道記」、昭和十五年十一月の自序を持つ「豆の葉と太陽」などの紀行を並べる。峠や古道、佐渡・五箇山・熊野などの土地を、住む人の暮らしと信仰から見ようとする文が多い。