太良鉱山の盛況を写した絵と歌
どんな伝承か
秋田に戻って来た翌年、四十九歳の春、真澄は北秋田郡木戸石村の村長佐藤吉兵衛の家に居た。三月の初めにここを出て藤琴川の流れを上下し、七座や高岩の諸山を登拝し、それから険しい路を越えて太良の鉱山を訪ねた。当時の山主は成田某で、その家の大きな台所に難人とともに一宿したともあるが、主に世話をしたのは山田という在勤の医者であった。詳しく一山を見物し、山稼ぎの模様までが精確に絵に描かれ、また働く男女の歌や生活ぶりが写してある。長くこの事業に携わった人々の記録にも、この鉱山の百年前の盛況をこれほど具体的に書き残したものはあるまい。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第3巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第3巻』を全158話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。