雪を踏み分けて見た阿仁の白糸滝
どんな伝承か
四十九歳の年の十一月、真澄は阿仁の雪中にあって処々の山村を徘徊していた。十二月四日には一の渡を立って白糸滝を見物に行ったが、これは大変な冒険であった。三人の男を雪踏みに頼み、滝の根もとまで近寄って見物したのである。世に聞こえた名勝ではあるが、その雪中の壮観を記述した筆は空前絶後であろうと評されている。阿仁の白糸の滝の深冬の寂寞境は、この旅客を得て初めて歌となり画となった。尋常の遊歴文人ならば出て歩きもせず、第一こんな山奥へ入って行くはずもない。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第3巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第3巻』は、柳田国男の紀行・日記・随筆を集めた著作集の一巻である。相模・武蔵の村々を歩いた「水曜手帖」、昭和二十三年八月の自序を持つ「北国紀行」、明治四十三年の「五十年前の伊豆日記」、国際聯盟の委任統治委員会に勤めた大正十一年の「瑞西日記」と「ジュネーブの思ひ出 その他」を収める。後半の「菅江真澄」は昭和十七年二月の序を付け、真澄の著述と旅の跡を年を追ってたどり、写真解説を添える。