戸隠の年の暮れの杓子配り
どんな伝承か
信州戸隠では、四十戸の旧院坊が今も古くからの慣行を守り、年の暮れになると数十万にのぼる札講中へ向けて一本ずつの杓子を配る。これを受け取った家々では、その杓子を大戸に打ち付けて正月の護符にするという。柳田は栗岩君の報告として紹介し、碓氷峠や箱根の杓子町で社家や修験が配っていた杓子が、単なる歳暮や年玉の品であったのか、それとも護符としての性格を持っていたのかは、この戸隠の例によって容易に決められる問題だと述べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。