備後御調郡海上のタクラウビ
どんな伝承か
備後の御調郡の海上に現れるという怪火をタクラウビと呼んだ。火の数は二つと伝えられ、柳田はその名の起こりを「比べ火」だろうと推している。芸藩通志の巻九十九に記載があるが、この頃はもう言わなくなっているらしい。安芸と備後の境の航路には、京女郎・筑紫女郎という二人の婦人の姿をした岩の話などもあり、もとは往来する船の人々の信仰から生まれたものではないかと想像されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。