椎葉の狩之卷・山神祭文
どんな伝承か
筆者は十八、九年前、日向の市房山に近い椎葉の大河内という部落に一泊し、宿主の家に伝わる秘伝の狩之巻を見せてもらった。その一節「山神祭文猟直しの法」には、山の神千二百を生んだ母を一神の君と呼び、産後三日も産腹を温めずにいた一神の君が、大摩の猟師に割子を乞うたが物忌みを理由に断られたと記す。次に行き逢った小摩の猟師が快く割子を差し上げると、一神の君は大いに喜び、丑寅の方のとふ阪山、七つの谷の落合で獲物を得させると誓ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。