散る花とともに来る疫病神を鎮める祭
どんな伝承か
著者は、日本語の「はな」がものの端を意味し、人びとを祝福する神霊や祖霊がこの世へ訪れる通路であると同時に、災いをもたらす悪霊や怨霊がやって来る通路とも考えられていたと説く。後の意味に近い例として挙げられるのが、京都紫野の今宮疫神社で行われる鎮花祭である。散り急ぐ花とともに疫病神が現れ出るのを防ごうとする祭りであり、ここでの「はな」は悪しきものの通り道としての性格を帯びているという。
原典より
かつて日本語の「はな」は、ものの先端や末端を意味する語であったという。—— 異界巡礼(小松和彦) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
異界巡礼(小松和彦)
『異界巡礼』は、小松和彦が著した民俗学の論集である。狐が人に化ける方法と如意宝珠、蓮如絵伝の異人、鬼退治譚と怨霊、家の盛衰をめぐる民話、夢信仰、巫女と陰陽道、洞窟や龍宮の他界観、人を神に祀る信仰、神隠しなどを、昔話・説話・絵巻・お伽草子と高知県物部村などでの調査をもとに論じる。論考と随想を部に分けて並べ、「民俗のランドスケープ」の部には妖怪、凧上げ、祓い、霜月祭り、呪い人形をめぐる小文を収める。