渡辺綱が退けた羅生門の鬼
どんな伝承か
能「羅生門」も、「大江山」と同じく帝の王権をたたえる考えで組み立てられている。羅生門は都の南の大門であり、国土は草木に至るまで大君のものなのだから、たとえ鬼神が住みついても住まわせておくわけにはいかない、という理屈が語られる。そうした理由から、羅生門に出没する鬼は、源頼光の四天王のひとり渡辺綱によって退散させられることになる。著者はこれを、帝の治世を称賛し祝福する芸能としての頼光物の一例と見ている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
異界巡礼(小松和彦)
『異界巡礼』は、小松和彦が著した民俗学の論集である。狐が人に化ける方法と如意宝珠、蓮如絵伝の異人、鬼退治譚と怨霊、家の盛衰をめぐる民話、夢信仰、巫女と陰陽道、洞窟や龍宮の他界観、人を神に祀る信仰、神隠しなどを、昔話・説話・絵巻・お伽草子と高知県物部村などでの調査をもとに論じる。論考と随想を部に分けて並べ、「民俗のランドスケープ」の部には妖怪、凧上げ、祓い、霜月祭り、呪い人形をめぐる小文を収める。