伯母に化けて腕を取り返した茨木童子
どんな伝承か
茨木童子の伝説にもとづく河竹黙阿弥の舞踊劇「茨木」。羅生門で鬼の片腕を斬り落として持ち帰った渡辺綱は、その腕を唐櫃に納め、鬼の祟りを恐れて物忌みにこもっていた。そこへ伯母が訪ねて来て鬼の腕を見たいとせがみ、肉親の情に負けた綱が見せると、伯母は実は茨木童子で、自分の腕を奪い返し、掲げながら消え去った。著者は、鬼の指が三本なのは怒り・貪り・愚かさを表すとされるのに対し、人をたぶらかす知恵を持つこの鬼女の指は四本だと説く。
原典より
そこへ伯母がたずねて来て、鬼の腕を見たがるので、つい肉親の情に負けて見せると、伯母は実は茨木童子であって、自分の腕をとり返して、切りとられた腕をかかげながら消える。—— 日本の幽霊たち ― 怨念の系譜(阿部正路) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の幽霊たち ― 怨念の系譜(阿部正路)
『日本の幽霊たち――怨念の系譜』は、阿部正路が書きおろした日本文学の幽霊論で、刊行は日貿出版社が手がけた。『竹取物語』『源氏物語』『平家物語』などの物語、『日本霊異記』から『遠野物語』『聴耳草紙』に至る説話、能と歌舞伎、さらに三遊亭円朝・泉鏡花・森鴎外・小泉八雲らの近代の作品に現れる幽霊をたどり、怨念の系譜として読み解く。第一章で幽霊の時・季節・姿・場・目的を論じ、終章で稲生屋敷の物怪や百鬼夜行など幽霊の周辺に及ぶ。