酒顚童子の産湯の川と杜父魚
どんな伝承か
越後の酒顚童子伝説の一つ。大昔、信濃川の流路がいまと違っていたころ、砂子塚にも澄んだ川が一筋流れており、里人はそこを童子の産湯の川だと語り継いだ。その川の淵には頭に瘤のある杜父魚が棲み、身重の女が口にすれば、生まれる子は男なら大盗賊、女なら邪淫の身になると恐れられていた。童子は十六か月も母の腹にいて生まれ、産声のあとすぐに歩き、言葉も解し、四、五歳で十歳ほどに見えたという。のちに和納の入口の堤あたりへ移り住んだので、その辺りを童子屋敷、近くの田を童子田と呼ぶ。いまも川の杜父魚の目がくぼんでいるのは、童子が魚をにらみ殺す修練をしたためだと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。