新場の狐 (1)
どんな伝承か
行徳の萩原とくが語る。威勢のいい爺さんが「自分はねんじゅう狐に化かされているから、ネズミの天ぷらを揚げて新場の山へ行き、ひと儲けしてくる」と言い出した。大八車にモッコと天秤棒を積んで出かけ、夜九時ごろ新場の山で火をどんどん焚いて揚げていると、いい匂いにつられて狐が大勢やって来る。顔を見てはいけないというので、売る側が頬かむりをして相手に見えないようにした。初日は五銭玉がうんと集まったが、二日目は五厘銭や二厘銭ばかり、三日目は葉っぱが多く、袴をはき提灯を提げた狐の親方が「誰に断って境内に出た」と大いに怒ったので、詫びてその場で火を消し、帰って来たという。
原典より
昔、威勢の良いお爺さんがいて、うちへ遊びに来て、「何か金もうけがないかな」って言ってね。—— 市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・昭和55年頃刊) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・昭和55年頃刊)
市川民話の会編『市川の伝承民話 第1集』を全206話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。