新場の山で名のりをあげて天ぷらを買う狐たち
どんな伝承か
行徳の大東つぎ、志村とみらが語る。新場の山で天ぷらを揚げたのは、トウフ屋とヤヘエの爺さん、ハルオジの爺さんにフクマツで、三人でネズミの天ぷらを揚げたのだという。そのときは木の葉の銭ではなく本物の銭を持って来た狐もいて、一円札まであった。紋付を着たのも、武士のように刀をさして威張って来たのもいて、ほうぼうの稲荷が来るのだから、偉い稲荷はさぞ立派な身なりで来たのだろうという。狐同士で名を呼び合い、「どなたさまもいらっしゃいました」と挨拶していたそうだ。真似をした若い者たちは、朝になると銭が木の葉になっており、それは妙典道のサンゴウジの葉だったという。
原典より
新場の山でてんぷら揚げたってのは、トウフ屋とヤヘエの爺さんと、ハルオジのお爺さんにフクマツだとよ。—— 市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年))
『市川の伝承民話 第1集』は、市川民話の会が昭和五十五年に編んだ民話の資料集である。市川市教育委員会の事業として昭和五十四年度に千葉県市川市の国分・北国分・行徳・南行徳で行った採訪調査のうち、テープ起こしを終えた語りを、方言も残して話者の息継ぎのままに記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部に分けて地区別に並べ、話末に話者・地区・記録者の名を添える。