浪子の病を歌い込む北国分のお手玉唄
どんな伝承か
「さいりょうざんは霧ふかし ちくまの川は波あらし」と唄い出すお手玉唄。はるかに聞こえる物音は逆巻く波か兵か、昇る朝日の旗の手にきらめく間に、と続き、最後は「これまで心願かけたのに、浪子の病は直らぬか」と結ぶ。山と川の情景に軍勢の気配を重ねた文句のあとへ、浪子の身を案じる一節が接がれた形になっている。北国分の中村ふみが唄い、浅賀美代子と荒井桂が記録した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年))
『市川の伝承民話 第1集』は、市川民話の会が昭和五十五年に編んだ民話の資料集である。市川市教育委員会の事業として昭和五十四年度に千葉県市川市の国分・北国分・行徳・南行徳で行った採訪調査のうち、テープ起こしを終えた語りを、方言も残して話者の息継ぎのままに記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部に分けて地区別に並べ、話末に話者・地区・記録者の名を添える。