野砲連隊の砲車が落ちた農道の大穴
どんな伝承か
語り手が学校に通っていた頃、家の前の道路は大きな穴だらけだった。国府台に野砲連隊があり、連隊の馬が八頭立てで大砲を引くので、車輪が沈み込んで台ごと引きずっていったためである。穴の空いた所は、農家が牛車に大根などを積んで通っても人の力ではとても引き上げられず、大八車は動かなかった。堀ノ内の下から国分新田の方へ来る田には、八頭立ての砲車が馬の暴走で突っ込み、馬が死ぬ騒ぎもあった。今は舗装されて綺麗になったが、当時はやっとリヤカーが通るほどの道しか無かったという。
原典より
まあ、俺、学校に行ってる時に、この前の道路なんか、みんなこんなでっかい大穴でもって、ボゴンボゴンで、そごに国府台に野砲連隊があって、連隊の馬が八頭立で大砲ひっぱるからね。—— 市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第1集(市川民話の会・市川の伝承民話・1980年(昭和55年))
『市川の伝承民話 第1集』は、市川民話の会が昭和五十五年に編んだ民話の資料集である。市川市教育委員会の事業として昭和五十四年度に千葉県市川市の国分・北国分・行徳・南行徳で行った採訪調査のうち、テープ起こしを終えた語りを、方言も残して話者の息継ぎのままに記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部に分けて地区別に並べ、話末に話者・地区・記録者の名を添える。