蕎麦畑を海と見て渡った狐の化かし
どんな伝承か
当時この辺りは一面の畑で、蕎麦を植えて種を取っていた。蕎麦畑は花盛りになると真っ白に花が咲く。狐に化かされて帰ると、その白い花が海に見えるのだという。そこで「おお深え、おお深え」と言いながら渡ったという話を聞いた。また、村へ行った帰りや遅くなって帰る時分に、御馳走を提げていた人が家に着いてみると、中身が何もなくなって取られていた、ということもあったという。
原典より
それはねえ、よく話には聞いてたけどね、傑作なのもあるね。—— 市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
市川の伝承民話 第2集(市川民話の会・市川の伝承民話・1981年(昭和56年))
『市川の伝承民話 第2集』は、市川民話の会が昭和五十六年に発行した民話資料集である。千葉県市川市の曽谷・宮久保・下貝塚と行徳の古老から聞き取った、狐や狢に化かされた話、火の玉、伝説、昔話、唄、暮らしの禁忌や苦労話を、方言を残した語り口のまま記録している。世間話・伝説・昔話・唄・生活譚の五部を地区別に並べて各話の末に話者と記録者を記し、巻末に語り手の紹介、話者と採訪者の名簿、採訪記、あとがきを付す。