勝浦郡上勝町の犬神筋家系の伝播事例
どんな伝承か
上勝町のある部落では、昔からT家が犬神筋だといわれていた。そのT家から同じ部落のV家へ嫁が入った。V家はそれまで犬神筋とされていなかったが、V家の娘が同じ部落のY家に嫁ぐと、十年ほどしかたたないうちに犬神持になって人に取り憑くという評判が立った。いまではT・V・Yの三軒がそろって犬神筋とみなされているという。犬神は母から娘へ女の血筋で受け継がれると信じられているため、嫁入りを重ねるたびに犬神筋とされる家が増えていく例である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
徳島の研究 第6巻 (方言・民俗篇)(徳島の研究)
『徳島の研究 第6巻 (方言・民俗篇)』は、徳島をめぐる研究叢書『徳島の研究』の方言・民俗篇の巻で、阿波の犬神を論じた一篇を収める。狸やトウビョウと並ぶ阿波の憑きものとしての犬神について、起源の伝説、正体とされる小犬や鼠、犬神筋の分布と女系の継承、憑依の動機と症状、祈祷による犬神落しを、筆者の聞き書きと室町期の下知状、郡誌や『阿波民俗』などから述べる。七節に分け、昭和期の犬神をめぐる事件と迷信打破の道で結び、末尾に参考文献の註を掲げる。