シケを告げる海津見神社の石笛
どんな伝承か
旭市下永井の海津見神社に伝わる話。昔、源助という男が大時化の翌朝に浜へ出ると、波風の音に混じって澄んだ笛の音が聞こえた。音の方へ行くと笛のように穴の貫通した細長い石があり、近づくと音は止んだ。気にも留めず漁に出ると沖で急に海が荒れ、命からがら浜へ戻った。その夜、枕元に海津見神社の妙見様が現れ、浜で聞いたのはシケを告げる天の石笛の音だ、聞こえたら漁に出るな、生かして帰したのはこれを浜の者に伝えさせるためだと告げた。以来、石笛が鳴れば漁を休み、浜で石笛を見つけたら妙見様に神酒とともに供え、三日間浜全体で祭りをしたという。この石は文化十三年に玉崎神社を訪れた平田篤胤が天の岩笛と名づけたと伝えられる。
原典より
海上郡飯岡町下永井、海津見神社。—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
『房総の伝説』は、平野馨が安房・上総・下総の旧三国、ほぼ今の千葉県に伝わる伝説を選んで編んだ資料集である。ホトトギスやワラビの由来、片葉の芦や頼朝の箸の杉、弘法の井戸、将門や八幡太郎の話、坂戸神社の人身御供、証誠寺の狸など、動植物・石・池・地名・家・祭りにまつわる伝説を市町村名を添えて記す。はしがきに示す自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三部に分け、解説や論評を加えずに書き連ね、似た話のある土地も併せて挙げる。