八百屋お七の遺体を葬った長妙寺
どんな伝承か
天和二年の江戸の大火で焼け出された本郷の八百屋久兵衛の一家が吉祥寺に身を寄せているあいだに、娘のお七は寺小姓の吉三郎と恋仲になった。普請代二百両を貸した万屋武兵衛がお七を嫁にと迫り、両親はやむなく承知する。悲しんだお七は、また家が焼ければ吉祥寺で吉三郎に会えると思い、新築の家に火を放った。捕らえられたお七は天和三年三月に鈴が森で火あぶりにされ、吉三郎も自害した。その手本となった於七の墓が萱田の長妙寺にあるという。八百屋は徳島の出で江戸に出て大和田から妻を迎えたが子がなく、妻の実家の姪を養女にしたのが於七だと伝え、刑場から密かに遺体をもらい受けて故郷の大和田に葬ったのだという。
原典より
天和二年、江戸の大火で焼け出された本郷の八百屋久兵衛一家が、吉祥寺に避難しているあいだに、娘お七は寺小姓の吉三郎と恋仲になる。—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
『房総の伝説』は、平野馨が安房・上総・下総の旧三国、ほぼ今の千葉県に伝わる伝説を選んで編んだ資料集である。ホトトギスやワラビの由来、片葉の芦や頼朝の箸の杉、弘法の井戸、将門や八幡太郎の話、坂戸神社の人身御供、証誠寺の狸など、動植物・石・池・地名・家・祭りにまつわる伝説を市町村名を添えて記す。はしがきに示す自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三部に分け、解説や論評を加えずに書き連ね、似た話のある土地も併せて挙げる。