運慶が母の幻に手元を狂わせた乳なし仁王
どんな伝承か
市川の大野にある浄光寺の仁王像には乳がなく、乳なし仁王と呼ばれている。これに祈ると乳の出がよくなるといわれる。昔、北条時頼の怒りに触れた仏師の運慶がこの地へ来て、母の霊を弔うために刻んだ像だというが、完成の間際に母の幻が現れて手元が狂い、乳をそぎ落としてしまった。運慶は像を打ち割ろうとしたが、乳の出の悪い人の守り仏にせよという母の声が聞こえ、我に返って世に残したと伝えられる。
原典より
市川市大野の浄光寺にある仁王像には乳がなく、一般に乳なし仁王と呼ばれているが、これを信仰すれば乳の出がよくなるといわれている。—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
『房総の伝説』は、平野馨が安房・上総・下総の旧三国、ほぼ今の千葉県に伝わる伝説を選んで編んだ資料集である。ホトトギスやワラビの由来、片葉の芦や頼朝の箸の杉、弘法の井戸、将門や八幡太郎の話、坂戸神社の人身御供、証誠寺の狸など、動植物・石・池・地名・家・祭りにまつわる伝説を市町村名を添えて記す。はしがきに示す自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三部に分け、解説や論評を加えずに書き連ね、似た話のある土地も併せて挙げる。