漁師の網にかかった歯吹き如来
どんな伝承か
長生郡長南町千田の称念寺に、千田の如来様と呼ばれて信仰を集める仏像がある。穏やかな顔つきのまま口を開き、歯をのぞかせて微笑んでいるので、歯吹き如来とも呼ばれる。その表情から来たのか、歯の痛みを治してくれると信じられている。言い伝えでは、昔、一宮の海岸で漁をしていた漁師の網にこの如来像がかかり、漁師は家へ持ち帰ってまつった。それを聞いた称念寺の住職が漁師に頼んで譲り受け、本堂に移して安置したという。長い間海の中にあったため、像の足には貝殻が付いていたと伝える。
原典より
千田の如来様とよばれ信仰されている仏像が、長生郡長南町千田の称念寺にある。—— 房総の年輪 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の年輪
『房総の年輪』は、房総各地の伝説・昔話・信仰の伝承地を一項ずつ取り上げた短い文章を集めたもので、著者と刊行の事情は原典に記されていない。香取の要石や真間の手古奈堂、松虫姫、源頼朝や義経の伝説地、沈鐘伝説、椀貸伝説、河童や天狗、海の怪異「もうれん」などを、『譚海』『上総国誌稿』や市町村の民話集を引きながら所在地とともに記す。各項は読み切りの小文で、昭和四十五年と四十七年の年頭に書かれた項を含む。