皇后に宝珠を授けた光照寺の子安地蔵
どんな伝承か
袋町の光照寺に祀られている子安地蔵は、延命安泰地蔵とも呼ばれ、鎌倉時代の名仏師である初代安阿弥が刻んだものと伝えられている。もとは三井寺にあった像だという。後宇多天皇の御代、皇后がひどい難産に苦しまれ、都じゅうの名僧を集めて安産を祈らせたが、少しも効き目が見えなかった。ある夜、皇后の夢に白い髪の老人が現れ、さぞお困りでしょうと言って一つの品を差し出した。目が覚めると皇后の手の中には宝珠があり、まもなく苦しみは薄らいで、皇后は無事に皇子を産まれたという。この地蔵はその後、芝の増上寺へ移され、さらに光照寺に納められた。昔はお産や子供の病に霊験があるとして、参詣する人が絶えなかったといわれる。
原典より
ところがある夜、皇后の枕べに白髪の翁が現われ、「ご難産でお困りのことでしょうから、これをさしあげましょう」といわれ、夢からさめた皇后の手に一つの宝珠があった。—— 新宿と伝説(新宿区教育委員会・1969年(昭和44年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新宿と伝説(新宿区教育委員会・1969年(昭和44年))
『新宿と伝説』は、新宿区教育委員会が昭和四十四年に編んだ区内の伝説集である。カッパが出る坂、四谷怪談のお岩、矢来町の化け石、女幽霊が掘った清水など、牛込・四谷・戸塚大久保・新宿・淀橋柏木落合の各地に伝わる六十二の伝説を、江戸の地誌や随筆などから採って収める。第一章で伝説の分布と型を概説し、第二章では地域別に、各話へ場所・時代・出典・解説・参考書を添える。