釣った魚が榎の葉に変わる沼
どんな伝承か
総野村市野川区から隣村の佐坪へ越す道の脇の沼に榎があるが、ここでは不思議によく魚が釣れる。ただしおかしなことに、まだ日の高いうちに早く帰れば何事もないけれども、魚を多く得ようとして帰りが遅くなるようなことがあると、釣り取った魚がみな榎の木の葉に変わってしまうという。そうした俗言が里の間で流行ったと『房総志料続編』に見えている。これは恐らく、その帰り道で狐にだまされ、魚と木の葉をうまく差し替えられてしまうのであろうと言われている。
原典より
総野村市野川区から、隣村の佐坪へ越す道の脇の沼に、榎があるが、此処で、不思議によく魚が釣れる。—— 日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1917年(大正6年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1917年(大正6年))
『日本伝説叢書 上総の巻』は、藤沢衛彦が大正六年に編んだ上総国の伝説集である。夷隅・長生・山武・市原・君津の五郡にわたり、地名の由来、社寺の縁起、城と武将の事跡、大蛇や狐つきの怪異、俚謡や民間の風俗を、口碑や『総国誌』などの地誌から集める。巻頭に著者の序と緒言を置き、上総国と郡の名義を説いたのち、郡ごとに町村の所在を添えた見出しで一話ずつ並べる。